SPC(ファンド)の法規制


ファンドは、投資家から資金を集めて運用し、その成果を投資家に分配します。

ファンドでは、投資において、信託受益権や匿名組合等に出資することが多いです。

また、ファンドが自らのファンドへの出資を募集し、自己の持分を販売します。

それらは、金融商品取引法上、みなし有価証券として取り扱われ、みなし有価証券を取り扱うファンドに対して、金融商品取引法では、このことを集団投資スキームといい、金融商品取引法のさまざまな規制を受けることになります。

 

ファンド自らが、ファンドの運用することは、自己運用といいますが、自己運用するためには、金融商品取引法の投資運用業に登録をしなければなりません。

投資運用業の登録には、人的構成(経営者等の資質)、財産規制(資本金5000万円等)、組織規制(株式会社のみ)等が要件となっており、ペーパーカンパニーで投資の器に過ぎないファンドが、当該要件を満たすことは現実的ではありません。

そこで、ファンドでは、すでに投資運用業に登録をしているアセットマネージャー(AM)に投資運用を一任する場合には、自己運用でなくなり、ファンドでは投資運用業の登録が不要になります。

ファンドは、AMと投資一任契約を結び自己運用を回避するということが原則になります。

 

ファンドへの出資の勧誘、販売等をファンドが自ら行うことを自己募集といいますが、この自己募集を行うためには、第二種金融商品取引業の登録が必要になります。

第二種金融商品取引業の登録は、投資運用業ほどは厳しくありませんが、人的構成(経営者等の資質)、財産規制(最低資本金1000万円)の要件があり、こちらもファンド自身での登録は現実的ではないので、第二種金融商品取引業者に委任することになります。

したがって、ファンドの運用には、投資運用業、第二種金融商品取引の登録をしている業者が必要となります。

 

一方で、金融商品取引法には、規制を緩和して、投資を促進する特例もあり、プロの投資家が出資をするファンドについては、規制が緩和されています。

このプロの投資家を適格機関投資家といい、具体的には、金融商品取引業者(第一種金融商品取引業、投資運用業)、銀行、保険会社などが該当します。

一般の法人でも、保有する有価証券が10億円以上で金融庁長官に届出を提出すれば、適格機関投資家になれます。

ファンドへの出資者が適格機関投資家1名以上、それ以外の投資家が49名以下の場合に、財務局に届出を行えば、投資運用業者、第二種金融商品取引業者でなくても、自己運用、自己募集ができることになります。(このことを適格機関投資家等特例業務といいます。)

しかし、適格機関投資家がファンドにわずかな出資をしてもらい規制を逃れるという悪質なケースがあったため、それ以外の投資家の条件が限定されることになりました。

現在では、下記以外の一般投資家に出資を勧誘するファンドに関しては、適格機関投資家特例業務が認められなくなったということになります。

 

(参考)適格機関投資家等特例業務に出資可能な投資家

 (a) 投資判断能力を有する投資家の類型

1.

2. 日本銀行

3. 地方公共団体

4. 金融商品取引業者等

5. 適格機関投資家等特例業務届出者等

6. 上場会社

7. 資本金5000万円以上の法人

8. 純資産額5000万円以上の法人

9. 特殊法人・独立行政法人等

10. 特定目的会社

11. 投資性金融資産が100億円以上と見込まれる企業年金基金等

12. 外国法人

13. 投資性金融資産が1億円以上と見込まれ、証券口座を開設して1年以上経過している個人

14. 投資性金融資産が1億円以上と見込まれるファンドの業務執行組合員である個人・法人

15. 国または地方公共団体が4分の1以上議決権を保有する公益社団法人等

16. 金商業者等、上場会社、資本金または純資産額が5000万円以上の法人の子会社・関連会社

17. 資産管理会社

18. 外国の組合型ファンド

b)当該特例業務届出者の密接関連者の類型

19. 当該特例業務届出者の役員・使用人

20. 当該特例業務届出者の親会社等・子会社等・兄弟会社

21. 当該特例業務届出者の運用委託先

22. 当該特例業務届出者の投資助言委託先

23. 20.22.の役人・使用人

24. 当該特例業務届出者・1921.23.の三親等以内の親族