会社分割における簡易課税の判定


ファンドでも、近年、合併や分割による組織再編行為によって、資産の移動が行われるようになってきました。

202310月から始まるインボイス制度のため、ファンドでの免税事業者はかなりの数減少するかと思われますが、簡易課税を選択するファンドは増えるのではないかと思っています。

 

さて、簡易課税の適用を受けるには、基準期間による課税売上高での判定をしないといけないのですが、会社分割の場合、新設分割と吸収分割では、分割承継法人での簡易課税の判定が異なるので、注意が必要です。

 

1,新設分割の場合(消費税法121~4項)

新設分割子法人の基準期間における課税売上高とこれに対応する期間中の分割親法人の課税売上高の合計で判定します。

親と子の合算での判定は、ずっと続きます。

納税判定も同様になります。

新設分割子法人の設立事業年度と翌事業年度は、新設分割子法人の基準期間における課税売上高がないため、新設分割子法人の基準期間に対応する期間中の分割親法人の課税売上高で判定することになります。

 

2,吸収分割の場合(消費税法12条5項)

吸収分割では、判定は、吸収分割のあった事業年度と翌事業年度のみを考慮し、新設分割のようにずっと分割法人の影響が続くというわけではありません。

分割法人の実績は一切考慮せず、分割承継法人の基準期間における課税売上高のみによって判定するということになっています。(消費税法基本通達 13-1-2

つまり、新設分割の場合とは異なり、分割法人の課税売上高は関係ないということです。

納税判定については、分割法人と分割承継法人の合算で判定し、簡易課税の判定については、分割承継法人で判定するというややこしいことになります。

基準期間は、承継法人分割期期首の2年前から1年経過する間に終了する分割法人事業年度となります。(令23⑥)

 

ちなみに、分割法人が複数ある場合には、分割法人の大きい方の課税売上で判定がなされるため、分割法人同士で合算する必要はありません。