匿名組合の源泉徴収漏れ(事例紹介)


SPCGK-TKスキームをやっていると源泉徴収漏れの話はよくでてきます。

匿名組合出資者の会計・税務処理は、「匿名組に出資した者の会計処理と税務処理」というページに記載してますので、ご参照ください。

匿名組合について、利益にかかる現金分配には源泉徴収が生じるので、うっかりミスはあまりないのですが、もしかすると、源泉徴収漏れと指摘を受けてしまうかもしれないという事例を紹介します。

 

具体的な事例として、以下を考えてみます。

例)匿名組合事業において、1期計算期間において、100利益が生じ、2期計算期間において、50損失が生じた場合。現金での分配はないものとする。

 

匿名組合事業者の仕訳を考えてみます。

 

1,1期目の損益分配の仕訳

匿名組合損益分配 100 / 未払分配金 100

 

2,2期目の損益分配の仕訳

未払分配金 50 / 匿名組合損益分配 50

 

2期目にこのように未払分配金を相殺(1期目の利益と2期目の損失を相殺)する仕訳をしてしまうと源泉徴収漏れのおそれがあります。

理由として、源泉徴収の通達(181223共-1)に以下の記載があります。

「法第4編《源泉徴収》に規定する「支払の際」又は「支払をする際」の支払には、現実に金銭を交付する行為のほか、元本に繰り入れ又は預金口座に振り替えるなどその支払の債務が消滅する一切の行為が含まれることに留意する。」

 つまり、債務を消滅させるなら、源泉徴収する義務がありますよということを言っています。

 

上記、2期目の仕訳をしてしまうと、債務を消滅される行為として、源泉徴収漏れと言われてしまうおそれがあるということになりかねません。

こんなときは、実務的な処理としてよく使っていたのが、

匿名組合勘定 50 / 匿名組合損益分配 50

という仕訳です。

匿名組合勘定とは、仮勘定で、匿名組合出資預り金が一時的に毀損したと考え、匿名組合出資預り金のマイナスとして別掲表示させていました。

次の計算期間に、匿名組合事業において利益が生じた場合に相殺することになります。

 

ちなみに利益にかかる現金分配は、税務上の配当等には該当しないので、未払分配金のまま、1年経過しても、源泉徴収漏れとはなりません。