ファイナンスリースの判定ルール(会計と税法で異なる)


ファイナンスリースの判定において、会計と税務では判定基準が異なりますので、以下に示します。

 

1)会計による判定

会計ではリース会計基準によって判定されます。

具体的には、現在価値基準、または経済的耐用年数基準によって判定されます。

①現在価値基準

解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額のおおむね90%以上である場合

式:リース料総額の割引現在価値 借手の見積現金購入価額×90%

 

経済的耐用年数基準

解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数のおおむね75%以上である場合

式:解約不能のリース期間≧リース物件の経済的耐用年数×75%

経済的耐用年数基準は、すべてのリース取引を現在価値基準で判定するには実務的に煩雑となることから、簡便法として設けられたようです。

税法には、経済的耐用年数基準で判定するルールはありません。

経済的耐用年数とは、税法上の耐用年数ではなく、経済的使用可能予測期間とされています。

ただ、会計上は税法の耐用年数は著しく不合理でない限り認めているため、結果として、実務上は、税法の耐用年数を用いることが多いように思います。

会計のなんともあいまいなところです。

 

(2)税法による判定

税法においては、リース料の総額がその資産の取得のために通常要する価額のおおむね90%相当額を超えている場合に、ファイナンスリースに該当すると判定されます。

式:リース料総額>資産の取得のために通常要する価額×90

税法は、リース料総額で判定され、会計のように現在価値で割り引くという考えはとっていません。(税務はファイナンスリース取引について、金融取引という一面を無視しているとも考えられます。)

この考えは、税務処理にも反映されています。

 

【まとめ】会計と税法との相違

会計 現在価値を計算する(割引計算する) 

   経済的耐用年数でも判定される

税法 割引計算をしない(金利という考えがない)

   経済的耐用年数での判定はない

 

上記を見ると、現在価値に割り引かない数値の方が大きいため(リース料総額>リース料総額の現在価値)、税法の方がファイナンスリースと判定されやすくなります。

しかしながら、会計には、経済的耐用年数での判定もあるため、一概に税法の方がファイナンスリースと判定されやすくなると言えない面もあります。

この会計と税法の考えが相違することによって、税法ではファイナンスリースと判定されたのに対し、会計ではオペレーティングリースと判定されたり、その逆もあり得ることとなり、実務上、混乱をきたすことになります。

 

法人税法上、税務は、会計の処理を認めているので、費用(損金)の点については、問題とはならなかったりするのですが、消費税法上は、ファイナンスリースとオペレーティングリースでは、消費税計算が全く違ってくるために、大きな問題となることがあるように思います。