投資事業有限責任組合(LPS)の消費税の取り扱い


LPSの消費税についての取り扱いは、消費税基本通達1-3-1において、「共同事業に属する資産の譲渡等又は課税仕入れ等については、当該共同事業の構成員が、当該共同事業の持分の割合又は利益の分配割合に対応する部分につき、それぞれ資産の譲渡等又は課税仕入れ等を行ったことになる」と記載されています。

つまるところ、組合事業において、消費税にかかる取引については、各組合員がそれぞれ取引を行ったものとして認識することになります。

 

例えば、組合員の持分割合(分配割合)が10%で、組合事業の支払手数料が110(税込)であれば、

組合員は、

支払手数料 10

仮払消費税 1

と認識することになります。

課税仕入対応、非課税仕入対応等の消費税区分については、組合事業の収入に応じて判断されることになるものと考えられます。

例えば、VC(ベンチャーキャピタル)ファンドのようなLPSの収入が株式の売却(非課税売上)のみである場合でも、LPSで発生する管理報酬、監査報酬、会計事務所への報酬など、収入と対応関係がない費用については、共通対応仕入として組合員が取り込むことができるものと考えられます。

 

LPSは法人格を持たないため、LPSから組合員への現金の分配は、経済実態として資金移動と同様となりますので、分配金には当然に消費税は発生しません

 

消費税の認識時点については、消費税基本通達9-1-28に、「共同事業において、131により各構成員が行ったこととされる資産の譲渡等については、原則として、当該共同事業として資産の譲渡等を行った時に各構成員が資産の譲渡等を行ったこととなる。

ただし、各構成員が、当該資産の譲渡等の時期を、当該共同事業の計算期間(1年以内のものに限る。)の終了する日の属する自己の課税期間において行ったものとして取り扱っている場合には、これを認める。」とあり、法人税と整合性を図るため、会計・税務の認識の時点と同様になります。

 

組合員の会計・税務処理については、LPS(投資事業有限責任組合)に出資した者の会計処理と税務処理」というページに記載しておりますので、ご参照ください。