匿名組合に出資した者の会計処理と税務処理


匿名組合の出資者側の会計処理と税務処理は、ほぼ同じですが、会計は実態に応じた処理を求められることがあるので、少し注意が必要になります。

 

匿名組合出資者に出資した者の税務処理は以下に規定されています。

 

法人が匿名組合員である場合におけるその匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額については、現実に利益の分配を受け、又は損失の負担をしていない場合であっても、匿名組合契約によりその分配を受け又は負担をすべき部分の金額をその計算期間の末日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入し、法人が営業者である場合における当該法人の当該事業年度の所得金額の計算に当たっては、匿名組合契約により匿名組合員に分配すべき利益の額又は負担させるべき損失の額を損金の額又は益金の額に算入する。

(法人税基本通達14-1-3

 

具体的な例を挙げると以下になります。

例)3/31匿名組合事業において100利益が発生し、100の利益の分配を受け、5/3150現金の分配(源泉税10含む)がなされた場合。源泉税を20%とする。

 

(匿名組合員の税務処理) 

3/31

未収入金100 / 匿名組合分配益 100 

 

5/31

預金   40 / 未収入金 50

仮払税金 10

 

実際に現金分配を受けたときに、収益を認識しないことに注意してください。

利益を超えた現金分配をした場合、超えた部分は出資の戻しとなり、源泉税はかかりません。

損失の分配については、「匿名組合に出資した金額を超える損失分配があった場合の会計・税務の取り扱い」というページに記載しておりますので、ご参照ください。

 

一方、会計上の処理は、以下に規定されています。

任意組合すなわち民法上の組合、匿名組合、パートナーシップ、及びリミテッド・パートナーシップ等(以下「組合等」と いう。)への出資については、原則として、組合等の財産の持分相当額を出資金(金融商 品取引法第2条第2項により有価証券とみなされるものについては有価証券)として計上し、組合等の営業により獲得した純損益の持分相当額を当期の純損益として計上する。

(金融商品会計実務指針第132項)

 

具体的な処理は、税務と同一となります。

しかしながら、実質的に匿名組合出資者等の計算で営業されている場合もあり得るため、経済実態を適切に反映する会計処理及び表示を選択することと規定されており(金融商品会計実務指針第308項)、匿名組合事業のB/SP/Lをそのまま取り込むという会計処理をもとめられるケースもあり得ます。

具体的には、匿名組合出資者が一人で、かつ、匿名組合出資者に関連のある者がAM(アセットマネージャー)を行っている等が考えられます。