リースの少額資産(300万円以下)の会計と税務


リース取引が、会計上「所有権移転外ファイナンス・リース取引」に該当しても、重要性の乏しい場合、以下の3点のどれかに該当する場合、例外として、賃貸借処理ができるとされています。(リース適用指針35項)

①重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、リース料総額が当該基準額以下のリース取引

②リース期間が1年以内のリース

③少額資産(事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、1件当たりのリース料

総額が 300 万円以下のリース取引)

 

よく知られているのは、③の300万円以下は、リース資産として計上しなくてもよいという例外規定でしょうか。

300万円の判定について、実務上行われるリース取引の中には、複数の資産をまとめて1つのリース契約として締結する場合がありますが、その場合には、異なる科目ごとに、300万円の判定ができるとされています。

 

会計は、300万円で判定することになっていますが、じゃあ、税務も同じなのかというと、実は、税務では300万円という判定はなかったりします。

では、税務では、税務上のリース取引(所有権移転外ファイナンスリース取引)となる場合には、すべてリース資産として計上しなければいけないのかというとそういうわけではなく、税務上のリース取引(ファイナンスリース取引)となる場合、損金で計上される額は、リース資産(リース料総額)をリース期間で均等に償却した額となるので、賃貸借処理するのと同額の金額が計上されるため、税務上(法人税上)は、別にどーでもいいよというスタンスのようです。

(厳密に言うと、通達で、会計上の利息法での損金算入を認めているため、少しだけ異なる場合がありますが、期間の費用計上が少しズレるだけなので、税務当局としてもあまり気にしないことになります。)

 

消費税の取り扱いは異なるので、税法上のリース取引に該当するか検討が必要になります。(といっても賃貸借処理をしても、消費税の一括控除ができなくなるため、税務当局に文句を言われるということはなかったりします。)

要は、税務上だけに限れば、すべてのリース取引(所有権移転ファイナンスリース、セール&リースバック取引は別ですが)を賃貸借処理しても、税務当局に文句は言われないということになるかと思いますので、300万円の判定を気にするのは、上場企業のような企業会計が強制適用されてしまう会社ということになるのだと思います。