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SPC・ファンドの監査を会計士に依頼する際の注意点


SPC・ファンドの会計監査を監査法人や会計士に依頼する際の注意点をまとめてみました。

監査を受ける側、する側をしていた時の経験をもとに記載しています。

 

1,監査人がSPC・ファンドを知っているか

驚きますが、そもそもSPC・ファンドを知らないで(スキームを理解しないで、SPC・ファンドの会計処理をよく知らないで)監査をしていることが、よくあります。

わからないので、教えてくださいと言うのならまだいいのですが(面倒ですが)、間違った会計処理を平気で指摘してくることもあります。

大手監査法人などは、若手の練習とされるケースが多いように思います。

SPC・ファンドは上場企業と違い、試算表の数字を全部検証することができる量のため、会社の事業や決算書を理解することができ、若手の練習台に適しているとは思います。

受ける側からすれば迷惑な話だとは思いますが。

 

2,税務がわかるか

税務リスクはキャッシュフローに影響を与えるリスクがあるため、SPC・ファンドに多額のお金をだしている投資家やレンダーにとって重要なリスクになります。

監査だけをやっている会計士は、税務がわからないことが多いです。

上場企業の監査を主にしている会計士は、税金は科目の一部でしかなく、税金は実務経験がないとわからないことが多いためです。

事業会社や会計事務所で税務実務を経験して、監査法人に戻る人や、社会人から会計士になる人はいますが、少数です。

SPC・ファンドに慣れていない会計事務所がSPC・ファンドの決算をすると、監査を受けていても税務リスクに気が付かないで、そのまま税務申告されてしまうケースが多いように思います。

逆にSPC・ファンドに慣れている会計事務所がするSPC・ファンドの決算は、比較的安心して監査をすることができるように思います。

リスクが少ないため、若手の練習台とされてしまう理由でもあったりします。

 

3,SPC・ファンドの実務がわかるか

監査法人には、SPC・ファンドの実務を経験した会計士はほとんどいないと思います。

SPC・ファンドの業界自体が狭く、もともと実務経験を有する人が限られており、仕方がないといえばそれまでですが。

ただ、実務経験がないと、深度のある監査はなかなかできません。

実務がわからないと、意味の分からない質問をされたり、余計な資料を要求されるといったコミュニケーションコストがかかってしまうこともあります。(SPC・ファンドに限らず上場企業の監査にも言えることですが)

 

SPC・ファンドの監査については、人材が非常に限られています。

監査法人のネームバリューや受託件数よりも、担当の会計士に、SPCの経験がどれぐらいあるか、スキームを理解できるかどうか等、率直に聞いてみてから、監査の依頼をした方がよいと思います。