インボイス負担軽減(2割特例、少額特例)について


インボイス制度適用に伴う、通称「2割特例」とは、インボイス制度を機に課税事業者になった免税事業者の納税負担を預かった消費税の2割に抑えるというものです。

簡易課税の優遇版といったところでしょうか。

例えば、サービス業で簡易課税を適用すれば、従来は、預かった消費税の5割納税しなさいというところ、3年間(202310月から)2割でいいよということになります。

具体的には、売上100円(税抜)で消費税10円を受け取った場合、従来は5円納税しないといけないところ、2円の納税となります。

卸売業、小売業の簡易課税事業者は元々1割、2割なので、恩恵はないのですが、その他の業者は優遇措置となります。

消費税の益税防止として、調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った場合は適用できません。

 

2割特例の適用は、簡易課税のように税務署への事前の届出は必要なく、消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます。

2割特例は、本則課税or簡易課税を適用していても、適用が可能です。

 

また、インボイス定着までの実務に配慮し、一定規模以下の事業者の行う少額の取引につき、帳簿のみで仕入税額控除を可能とする6年間の事務負担軽減策(少額特例)も実施されます。

適用対象者は、基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間(前事業年度の開始の日以後6月の期間)における課税売上高が5千万円以下の事業者となります。

少額とは、1回の取引の合計額が1万円(税込)未満の取引となります。

例えば、5000円(税込)の商品を2個購入した場合、1万円の取引となりますので、少額特例は使えないです。

役務提供の場合は、契約した金額により判定されます。

日額5000円で外注し、月末に支払う契約をしたとき、4日依頼し、月末に2万円払った場合は、月毎の取引と考えられますので、2万円の取引となり、少額特例は使えないと考えられます。

 

ちなみに、1万円(税込)未満の返品・値引き・割戻しなどの売上げに係る対価の返還等について、返還インボイスの交付義務が免除されます。

こちらは、すべての事業者が対象となり、適用期間も定められていません。

 

インボイス制度の登録は2023331日までですが、930日までは制度開始(2023101日)に間に合います。

個人の場合は、番号通知が1カ月程度かかることもあるようなので、開始日から請求書を発行する必要があれば、少なくとも8月中には申請しないといけないことになります。