特定目的会社(TMK)の特徴と会計税務


TMK(特定目的会社)とは、「資産の流動化に関する法律(資産流動化法)」に基づき設立されるファンド専用の法人です。

SPCは特別目的会社と呼ばれており、TMK(特定目的会社)名称が似ているせいか混同されて使用されていることをたまに見かけます。(これを間違えるのはファンドのことを知らないで記載しているとすぐにわかってしまいます)

 

TMKは、特殊な法人で、資産流動化計画を財務局へ届出・受理されて初めて有効なTMKとして機能します。(設立しただけでは認められません)

財務局への書類の提出等が必要であったり、特定資産の流動化を目的としたスキームに限定されるなど、柔軟な設計がしにくいので、GK-TKスキームの方が、実務上は、よく使用されるかと思いますが、受益権を設定しにくい開発案件で使用されることがあったりします。

また、資金流動化計画によって運営されなければならないことや、会計監査が強制されるなどGK-TKスキームよりガバナンスが厳格なので、外資の投資家によるファンドでの使用をよく見かけます。

 

TMKの特徴のひとつとして、適格機関投資家等に限定されていること(または少人数私募)などの特定要件を満たせば、第二種金融商品取引業の登録を受けなくても勧誘が可能とされています。

GK-TKスキームでは、適格機関投資家等特例業務届出で対応できますので、差別化ができるというわけではないですが。

 

TMKでは、会計税務に一般の会社とは異なった特徴があります。

TMKは、投資家に儲けを還元する仕組みとなっており、利益配当の支払額が配当可能所得金額の90%超となることなど、一定要件を満たせば、配当を損金算入することができるため、二重課税の回避ができることになります。(租税特別措置法第67条の14)

ここで問題になるのが、利益配当の支払額は、あくまで会計上の利益で算出される金額であり、配当可能所得の金額は、税務上の所得に一定の調整を加えた金額となるため、会計と税務が乖離した場合には、実務上、大きな問題となります。

 

会計と税務が大きく乖離する場合(例えば減損損失を計上する場合)には、会計上では減損損失は費用計上されるため利益配当の限度額は小さくなるのに対し、税務上では減損損失は加算調整されるため課税所得は大幅に膨らみます。

そのため、支払配当の割合が90%を満たさなくなることが起こりえてしまい、配当が損金算入できなくなってしまい、スキームの破綻を招いてしまうことがあります。

ファンドの性質上、利益のほとんどを配当することを想定しているため、配当可能利益の90%超を配当するという要件は容易のように思われるかもしれませんが、損金算入を税務当局から否認されてしまったような場合にも、条件を満たすことができなくなるというリスクがあります。

したがって、最悪の場合、配当が損金算入できなくなるということが起こりえるため、GK-TKスキームよりも、会計処理には、十分に配慮する必要があります。

 

TMKでは、会計監査が強制されており、「特定目的会社に係る監査上の実務指針」によって行われますが、ファンドや税務を知らない監査人だと、上記の問題を理解していないため、ファンドの運営に支障をきたしてしまうおそれがあります。

弊事務所では、TMKをはじめ、多種多様なファンドスキームの税務申告・会計監査を行ってきた経験がありますので、ファンドの会計監査についてのご相談があれば、お問い合わせください。