一般の会社の場合、利益(所得)がでると、法人税課税を受けた後、法人税を控除後の利益で配当を行ないます。
配当を受ける者は、法人税と源泉税(所得税)を控除された金額が取り分となってしまいます。(受取配当金の益金不算入の制度はありますが、二重課税を完全には排除できません)
二重課税となれば、直接、投資家に事業の成果を配分することができなくなってしまうため、SPC(ファンド)には、利益を直接、投資家に配分できるよう、SPCでは課税されない仕組みがあります。
この課税を回避する性質を導管性と呼びます。
導管性には、パススルー課税とペイスルー課税があります。
1,パススルー課税
SPCが稼得したキャピタルゲインや配当等の利益について、SPC段階では課税されずに、課税前ベースで出資者へ分配できる制度です。
会計的に言うと、SPCの利益をそのまま投資家が取り込むことになります。
例えば、SPCで100の利益がでて、投資家が2名(それぞれ50%出資)だとすると、各投資家が50の利益をそれぞれ直接取り込むことになります。
SPCでは課税されませんが、投資家側で課税されます。
構成員課税ともいわれます。
税務申告は、SPCではなく、投資家(構成員)が行います。
LPS(投資事業有限責任組合)が代表的な形態です。
LLPや民法上の組合も同様の形態です。
会計処理については、「LPS(投資事業有限責任組合)に出資した者の会計処理と税務処理」というページに記載しておりますので、ご参照ください。
LLPや民法上の組合も同様の会計処理となります。
2,ペイスルー課税
一定の要件を満たした場合に、投資家への配当を損金に計上できる制度です。
通常の会社では、配当を損金に計上することができなく、税引き後の利益を配当とすることになりますが、配当を損金に計上できれば、利益から配当を差し引いたものにだけ法人税がかかることになり、SPCでは、ほとんど法人税の課税をされることがなく、利益をより多く配当ができるようになります。
事業の税務申告は、SPCが行います。(投資家が税務申告をしなくてよいというわけではありません。消費税の申告はSPCで行います。)
SPCから配分された利益については、利益を受け取った分のみ投資家が税務申告します。
GK-TK、TMKが代表的な形態です。
GK-TKにおいて、匿名組合に出資した際の会計処理については、「匿名組合に出資した者の出資の会計処理と税務処理」というページに記載しておりますので、ご参照ください。