不動産特定共同事業とは、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けた事業者が、匿名組合契約や任意組合契約などを通じて、複数の投資家から資金を集めて不動産投資事業を行い、その運用益や売買益を投資家に分配する事業のことをいいます。
不動産投資は多額の資金が必要になりますが、1980年代に高額な不動産を分割して投資しやすくした「不動産小口化商品」が生まれ、大きな資金力がなくても比較的簡単に不動産投資ができるようになりました。
しかしながら、バブルの崩壊によって事業者の倒産が相次ぎ、投資した人々が損失を出すという事態が生じてしまいました。
そのため、投資家保護の観点から、不動産特定共同事業法(通称、不特法)という法律ができ、事業者は許可制となりました。
不動産特定共同事業の事業者となるためには、原則、資本金1億円以上、宅建免許、事業を行うための人的組織等の要件があり(小規模不動産特定共同事業者は資本金1000万円からできます))、TMKスキーム以外の私募ファンド(主にGK-TKスキーム)で現物不動産に投資をすることは、不動産特定共同事業とみなさるため、SPCが当該要件を満たすのは現実的ではなく、SPCがこの制度を利用するのは事実上不可能でした。
そこで2013年に不特法が改正され、以下の要件を満たせば、SPC(ファンド)でも不動産特定共同事業の利用が可能となりました。
・不動産の取得、管理、運用を他の許可事業者(3号事業者)に一任すること
・出資契約の代理・媒介を他の許認可事業者(4号事業者)に一任すること
・出資者が専門的な知識や能力を有する特定の投資家に限定されていること(一般投資家ではないこと)
不動産特定共同事業は現物不動産を投資対象とすることが想定されており、不動産取得税が優遇されるなどの措置があります。
ちなみに、SPC(ファンド)が不動産を信託受益権化するのは、現物不動産の取得による不特法を回避するという目的があります。
不動産特定共同事業を行うにあたっては、国土交通大臣または都道府県知事の許可を取得する必要があり、許可申請をする際に提出する決算書は監査法人又は公認会計士の監査を受ける必要があります。
監査対象となるのは、直前三年の各事業年度の貸借対照表、損益計算書になります。(不特法施行規則8条2項2号)
会計の要件として、直近三年は黒字でなければならず、純資産 ≧(資本金又は出資の額×90/100)となります。
また、許可を取得した後においても事業報告書(会計に関する部分)に対して監査法人又は公認会計士の監査を受ける必要があります。(不特法施行規則57条2項)
東京都の場合、現状、申請してから許可が下りるには1年ぐらいかかってしまうので、監査を受けたからといって、すぐに許可は下りないです。
他の地方公共団体では、そんなに混雑していないかと思いますので、もう少し早く許可が下りるかもしれないです。
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