LPSでは、「中小企業等投資事業有限責任組合会計規則」という会計規則があったのですが、2023年12月5日より、「投資事業有限責任組合会計規則」という新たな会計規則ができまして、2024年10月1日以後に開始する事業年度から適用されることになります。
実に25年ぶりの改正となります。
改正の内容としては、時価算定基準の時価(いわゆる公正価値)と整合性を図るため、今回の改正がなされたようです。
従前の会計規則でも、「投資は、時価を付さなければならない」という文言はあったのですが、どうしても公正価値を促進したいということで、改正したようです。
ということで、LPSは、金融商品(株式、匿名組合など)に投資することが多いのですが、今後は、原則、当該投資を公正価値(時価)で評価してくださいということになります。
原則ということなので、当然、例外もあるわけで。。。
従前は、LPSは、「投資資産時価評価準則」という評価基準を使うことが多いように思います。
というのは、経済産業省が「投資事業有限責任組合モデル契約」(平成22年11月版)、「投資事業有限責任組合契約(例)及びその解説」(平成30年3月版)を作成してくれており、その契約書の雛形に「投資資産時価評価準則」が採用されていることによるかと思います。
契約書を作成する弁護士さんも、依頼するLPSを運用する方も、会計に詳しいわけではないので、わざわざそこを変更して作成するということはしにくいのではと思います。
今回の改正で、いきなり投資評価を変更するのは、組合契約を変更しなければならなかったりするため、例外として、従来と同じ方法(投資資産時価評価準則)でもいいよということになっています。
ということで、例外として、従来から採用されている投資資産時価評価準則でも認められると考えられるので、実質、従来と一緒だねということになるのかもしれません。
一応、経産省としては、あくまで原則は、時価算定基準の時価(いわゆる公正価値)であり、例外の方法(従来の評価基準)を採用する場合には、組合全員に説明し、合意をとりなさいということは言っているようです。
実際、原則の方法で評価するということになると、「IPEVガイドライン」に記載された評価方法を使うことになることになるかと思うのですが、様々な方法のなかから適切なものを選んで評価することが必要になります。(例をあげるのは非常に面倒なので記載しませんが、調べればすぐに見つかります)
要は、実務上、非常に面倒ということになります。
現場では、あまりやりたくないという意見が多いように思いますが、組合員に上場企業がいると、さて、どうしようかなということもあるかなとは思います。
個人的には、今回の改正では、従前のLPSには、実務上の影響は、あまりないかと思いますが、世の中の流れとして、公正価値というものを会計上、認識するという方向に向かっているのかなとは思います。
実務でやらせたいのであれば、簡単に計算できるソフトを導入できれば、やるようにはなるかもしれませんが、それでいいのかなという感じはします。