外形標準課税とは、資本金1億円超の法人を対象とした法人事業税の課税制度であり、所得ではなく、付加価値と資本金等を基準として課税されることになります。
税法上、中小企業に該当しないような法人には、何もしなくても均等割りの他にも税金がかかるということになります。
近年、減資をすることによって、資本金を1億円以下にして、外形標準課税を逃れる動きが増えたようで、総務省が、外形標準課税の判定を資本金+資本剰余金にするという共同通信の記事が出ていました。
資本金が1億円以下なら、外形標準課税が免除される以外にも、税法上、中小法人になるため、税法上の優遇措置が受けられることになるわけです。
見栄を捨てて実をとるというところでしょうか。
外形標準課税の判定を資本金+資本剰余金にするということについて、あんまり反対意見はないようで、今年の年末の税制大綱に盛り込まれそうな感じのようです。
株式会社が増資をする際には、会社法上、最低でも1/2は、資本金を増額しなければなりません。(残りの1/2は資本準備金になります)
一方、合同会社の場合、資本準備金という規定はなく、増資の際には、資本金を増額しなくてもよいことになります。
100億円増資しても、全額資本剰余金にすることができ、資本金1円、資本剰余金100億円ということができるわけです。
合同会社の場合、いくら増資しても、中小企業のままでいられることができます。
合同会社のSPC(ファンド)では、結構そのような状態があったりするわけで、中小企業の税法上の優遇措置を受けられることになります。
消費税についても、以前、消費税の課税事業者の判定について、税務署に問い合わせをしたところ、あくまで資本金の金額で判定されるとの見解で、合同会社の資本剰余金が100億円だったとしても、免税事業者となることもできるようです。
そんなわけで、外形標準課税の判定を資本金+資本剰余金で外形標準課税の判定がされることになると、今後は、SPCで見かける合同会社にも外形標準課税がかかってくるおそれがでてくることになります。(※)
SPCで合同会社を使うのであれば、ほとんどがGK-TKスキームになっていくのかなと思っています。
GK-TKだと、資本関係が断ち切られるので、外形標準課税はかからないことになります。
(※)2024年度の税制改正により、外形標準課税の対象法人は、資本金または出資金が1億円超を維持したまま、前事業年度に外形標準課税の対象であった法人が、当該事業年度に資本金1億円以下となった場合に、資本金と資本剰余金の合計額が10億円超となる場合は、外形標準課税の対象となりました。
2025年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。
また、資本金と資本剰余金の合計額が50億円超の法人等の100%子法人等のうち、資本金が1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が2億円超の会社は、外形標準課税の対象となります(一定期間の軽減措置あり)。
2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります