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エンジェル税制(LPSでも適用できる?)


エンジェル税制とは、一定の要件を満たしたベンチャー企業に対して個人が投資をした年において、個人が所得税の優遇を受けることができる税制です。

投資事業有限責任組合(LPS)や民法上の組合を通じて取得した場合でも対象となります。

優遇対象は個人であり、法人は優遇を受けられません。

個人でも一定の要件があります。(エンジェル税制の適用対象企業、適用を受けられる個人の判定については、下記シート参照)

 

ベンチャー企業側でも、エンジェル税制の対象か否かについて確認を受けることができる事前確認制度というものもあり、事前確認を行った場合には、会社名等が経済産業省のHPに公表されますので、投資のPR効果が期待できます。

 

LPSについては、認定投資事業有限責任組合に経済産業省から認定されると、投資するベンチャー企業がエンジェル税制の対象となるか否かを判断する際、一定のベンチャー企業要件が免除され、かつ投資事業有限責任組合がベンチャー企業に対し確認書を発行できることとすることで、都道府県への確認申請が不要となります。

LPSの認定申請は、中小企業庁創業・新事業促進課エンジェル税制担当者に以下の書類を提出することになります。

①認定申請書

②組合契約書の写し

③組合の登記事項証明書

④組合がその株式を保有する会社に対して積極的な指導を行う事が確実である旨を説明した書類(所定様式)

 

LLP(有限責任事業組合)を通しての投資は対象外ですが、組合員がベンチャー企業に直接投資するという体裁をとれば、適用できるとしているようです。

では、具体的にどうすればいいの?ということなのですが、東京都産業労働局のエンジェル税制担当に問い合わせてみたところ、LLPの組合員がエンジェル税制を適用できるかどうかは、ベンチャー企業の担当者と組合員を連れて、管轄の都道府県の相談窓口(ページ最後尾参照)に直接持ち込んで聞くのがよいとのことでした。

 

優遇の税制内容は、以下になります。(ABの選択適用)

1,優遇税制A(設立5年未満への投資)

(投資額-2,000円)を所得控除

所得の40or800万円が上限

2,優遇税制B(設立10年未満への投資)

投資額を株式譲渡益から控除

上限なし

 

その他、ベンチャー投資によって株式の売却損が発生した場合or破産等により損失が発生した場合、相殺しきれなかった分は3年繰越できます。

 

手続きとしては、以下の流れとなります。

1,ベンチャー企業が、エンジェル税制適用対象企業であること、投資が行われたことの確認等を都道府県対して確認申請を行い、都道府県はベンチャー企業に確認書を交付。

2,ベンチャー企業が、確認書、計算書類等を投資家に提出。

3,投資家が確定申告を行う。

 

民法組合および投資事業有限責任組合(LPS)経由で投資を行った場合は、以下の留意事項があります。

1,都道府県知事(又は認定投資事業有限責任組合や認定少額電子募集取扱業者)の確認を受けたベンチャー企業株式と同一銘柄株式につき、株式の取得、譲渡、贈与等保有株式数に変動が生じた時は、速やかに発行会社に通知してください(投資事業組合を通じた場合は、投資事業組合の代表者経由)

なお、発行会社は譲渡又は贈与があったことを知った場合には、投資家の株式異動状況通知書を作成の上、その知った年の翌年131日までに発行会社所在地の所轄税務署に提出してください。

2,民法組合及び投資事業組合の代表者は、株式の譲渡の対価の実質的受領者を明らかにするため組合員所得に関する計算書を、民法組合又は投資事業組合の代表者の所轄税務署に提出してください。

3,「投資時点での優遇措置」は、所得税のみ認められている制度であり、住民税においては認められていません。なお、エンジェル税制の売却時点の優遇措置については、所得税及び住民税の両方が認められています。

4,エンジェル税制の特例を複数回利用する場合は、ベンチャー企業を通じて、都道府県へ確認書の再発行を申請をしてください。

 

会社や投資家がエンジェル税制の適用要件を満たしているかどうかの判定は、書類を眺めていてもよくわからないと思うので、中小企業庁が、「はい」か「いいえ」のボタンをポチポチ押していくだけで判定可能な便利シートを作成してくれているので、利用するのがよいかと思います。

企業判定シート

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/angel/dl/sheet_enterprise.pdf

個人判定シート

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/angel/dl/sheet_kojin.pdf

 

投資の促進は、国として力を入れているようで、エンジェル税制について、各都道府県に個別の相談窓口もありますので、気になった事項については、各都道府県のエンジェル税制担当者に聞いてみるのが手っ取り早いかと思います。

窓口一覧↓

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/angel/contact/index.html