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源泉税の例外と罰則


会社や個人が、従業員に給与の支払いをしたり、士業(税理士、弁護士、司法書士など。)に報酬を支払ったりする場合などには、所得税および復興特別所得税を差し引くことになっています。

一般的に、この差し引かれる税金のことを源泉税ということが多いかと思います。

所得税になりますので、法人への支払いは、源泉税はかかりません。

配当や預金利息などのような例外はありますが。

そのため、税理士法人から発行される請求書には、源泉税の記載はありません。

個人への支払いについて、源泉税がかかることになります。

個人への支払いには、なんでも源泉税がかかるというわけではなく、源泉税が必要なものは、所得税法第204条1項に具体的に列挙されています。

ここに該当しなければ、源泉税は必要ありません。

 

源泉税で注意しなければならないのは、払う人が源泉税を納付する義務を負うことになることです。

ですので、例えば、個人の税理士がついうっかり請求書に源泉税の記載をすることを忘れてしまい、請求を受けた者が、請求書通りに支払いをしてしまうと、支払う側が源泉徴収漏れとなってしまい、支払い側にペナルティが課されてしまうことになります。(そんなうっかり税理士はいないと思いますが)

 

個人については、源泉税の徴収義務が免除される例外が2つありますが、法人は例外なく源泉徴収をする義務があります。

個人の例外として、

①常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人で、その支払う給料や退職金

給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬、税理士報酬などの報酬だけを支払っている人

については源泉徴収義務が免除されています。

例えば、従業員を雇わず一人でやっている個人のフリーランスの方が個人の税理士に確定申告の報酬を支払う際には源泉税を徴収する必要はありません。

 

給料や報酬を受け取る側からすれば、所得税の前払いといった意味合いになります。

報酬からひかれた源泉税は確定申告、給料から引かれた源泉税は年末調整か確定申告にて精算されることになります。

無申告でも税金がとれるという、国から見たら優れた制度と言えます。

 

源泉税は、原則、支払った月の翌月10日までに納付することになります。

特例として、従業員の給与支給人員が常時10人未満の場合は、税務署に届出を提出すれば、16月に徴収した源泉税を7月10日まで、712月に徴収した源泉税を1月20日までに、年2回で納付してよい制度があります。

ただし、特例については、給与や退職金から源泉徴収を行った所得税や、弁護士、税理士、司法書士などの報酬・料金から徴収した所得税等に限られています

そのため、上記以外の源泉税については、支払った月の翌月10日までに納付しないと、原則として10%の加算税が徴収されてしまいます。(自主的に納付すれば5%)

悪質であれば、さらに35%の加算税が追加されます。

さらにさらに、遅れた期間に対して、延滞税もかかってきますので、源泉税の納付漏れは結構なペナルティとなります。

さすがにこれでは、ついうっかり忘れてしまった人に対して厳しすぎるのではとのことで、例外として、以下の場合にはペナルティは課さないとされています。

・納付期限が1か月以内かつ、過去1年以内に納付漏れがない場合

・加算税額が5,000円未満の場合

 

匿名組合の源泉税なんかは億円単位になることもありますので、納期の特例が使えると誤解して納付漏れなんかにならないように注意しましょう。