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金融庁、合同会社への出資勧誘に対する規制


合同会社は、自由に経営ができることから、SPCやスタートアップ起業の形態によく利用されていますが、不正な勧誘にも利用されているようです。

有価証券の勧誘(いわゆる投資の勧誘)は、法規制があり、第一金融商品取引業(証券会社)の登録、流動性の低い有価証券であれば、第二種金融商品取引業の登録が必要になります。

 

しかし、現状の法律では、合同会社の従業員が、合同会社の社員権(株式会社の株式に相当するもの)の取得を勧誘することは、金融商品取引業に該当しないことになっているようです。

これを利用して、金融商品取引業の登録を受けていない者が、電話やインターネット、投資セミナー等様々な手段で、高利回りを謳った勧誘に応じた結果、勧誘者と連絡が取れなくなる事例、勧誘時に謳われていた利回りで運用されず、投資した資金自体も回収されない事例などが認められるほか、投資対象や契約内容を理解しないまま契約した旨の相談も多数寄せられているそうです。

そのため、金融庁が、合同会社への出資勧誘する者について、金融商品取引業の登録を義務付けました。(内閣府令が改正され、2022年10月3日から、業務執行社員以外の従業員が社員権の募集を行う際には、金融商品取引業の登録が必要になったようです。)

 

合同会社は、もともと、創業段階のベンチャー企業など少人数による事業を行うための会社に適した会社類型として創設されており、不特定多数の者に社員権を取得させることを念頭に置かれたものではないので、想定外のことなのでしょうね。

 

ファンドでも、ひと昔前までは、出資者に適格機関投資家(有価証券投資において専門的な知識や経験を有するプロの投資家とみなされる投資家)が1名で、それ以外の投資家が49名であれば、財務局に届出をすれば、金融商品取引業の登録等がなくても、投資の勧誘ができるということができたのですが(適格機関投資家等特例業務といいます)、わずかな金額を適格機関投資家に出資してもらって、規制を逃れるというケースもありました。

今は、投資家が制限されていて、ファンドが適格機関投資家等特例業務を利用して、一般の人を投資に勧誘することはできなくなりました。

 

法の抜け穴を探す人は必ずでてきますので、事件がおこるたびにその都度規制していくといういたちごっこを繰り返しています。

金融庁からの規制を逃れるために、合同会社の体をとるということは行われているようであり、合同会社は怪しげなスキームをとっているというイメージができてしまうおそれがあります。

GK-TKスキームにも変な影響がでなければよいのですが。

いつの世も、高利回りを謳う業者には相当の注意が必要のようです。

最近だと、エクシア合同会社という会社に出資の返還を求める訴訟があったようで、出資総額は700億円を超えるとか。