ファイナンスリースの地方税(固定資産税、外形標準課税)の取り扱い


【※2024年9月13日に新リース会計基準が公表され(2027年4月1日以後の期首から適用開始)、会計上、借手のオペレーティングリースは一部を除き、廃止されます。中小企業は税務に従って会計処理されることから、記事は残しております。税務に改正等があれば、更新したいと思います。】

 

償却資産を11日現在保有していると、固定資産税(償却資産税)の申告をすることになるのですが、リースの場合、借手と貸手のどちらが申告すればよいのか、税額はどちらが負担するのかという問題があったりします。

 

納税義務者は、「償却資産課税台帳に所有者として登録されている者」(地方税343条3項)となっているため、所有権移転外ファイナンスリースの場合、所有者は貸手ということになる以上、貸手が納税義務者ということになり、貸手が申告義務を負うということになると考えられます。

申告義務は貸手でも、固定資産税の負担を借手に請求することは契約により可能ですが、通常は、固定資産税等の間接費用は、リース料に含まれていることがほとんどだとは思います。

一方で、所有権移転ファイナンスリースの場合は、所有権が移転された時点で、納税義務者となるという理屈にはなりますが、実際のところ、貸手(リース会社等)が申告しているケースもあるようです。

以前、某地方公共団体に問い合わせてみたところ、どちらが申告してもいいし、どちらが払ってくれても構わないとの回答でした。

地方公共団体としては、払ってもらえれば、理屈はどうでもいいようです。

 

実務上、困ることがあるのが、セールアンドリースバック取引で、契約書に記載がなく、どちらが申告するのか不明な場合です。

固定資産台帳を作成しているのは借手なので、貸手からすれば、借手が申告するという前提にはなるかと思われます。

実務便宜上も、貸手は固定資産台帳を作成していないだろうし、貸手が申告するのは難しいとは思います。

そのため、借手が作成した固定資産台帳の金額で申告、納税することになるかと思います。

 

法人事業税の外形標準課税の計算においては、ファイナンスリースにかかる利息相当額は、契約書において取得価額と利息相当額が明確かつ合理的に区分されている場合、支払利子・受取利子として取り扱うものとされています。

経理処理によって利息相当額を計上しているのではなく、契約書によって区分されているかどうかで判断されることに留意する必要があります。